さて、いかがなものかと?

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古事記の小難しい内容を噛み砕いて理解するにはこんな本がおススメだ

 

「古事記」が、はてなキーワードに上がっていたのが少し癪だが、だからといって素晴らしい本を紹介しないのはもっと悪い気がするので、とにかくこの記事を書くことにした。

 

 

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古事記ってどんな本?

 

古事記は、日本書紀に並ぶ日本最古の書物である。書かれたのは712年。日本書紀はその8年後と言われている。世界(宇宙)の成り立ちから国の成り立ち、強いては神が地上に降りて生活をする迄を記している。

古事記と日本書紀は、似ているようで全く違う。

こちらを見てもらえば、書かれている内容の違いは一目瞭然だ。

 

古事記
天には神々の世界があり、高天原(たかあまはら)と呼ばれている。そこからの指令によって、葦原中国(あしはらのなかつくに、天と黄泉の国の間にある国、地上)は作られた。地上のことは全て高天原で決められる。最高神は天照大神(あまてらすおおみかみ)であり、
地上は代々天照大神の子孫が治めると決められている。

 

日本書紀
全ては、陰陽の考えが元になっている。力による支配(戦闘など武力による)が国の指導者を決めるとしている。世界は神によって支配されているのではなく、またその指令を受けて動くのでもないといった考え方。地上は天に従属するのではなく、飽くまでもその地位は対等としている。

 

基本的に、古事記が天皇家の歴史を語るのに対して、日本書紀は国の歴史を語っている。

 

 

古事記は読み難い?!

 

古事記の記述には様々な解釈がある。だが、どう解釈するかは読者本人が決めることで、色々な文献に目を通して理解を深めるなり、思考を練磨するなりすればいい。書物として刊行されている限りは、そうそういい加減な内容はないだろう。ネットの情報よりは格段に信憑性がある。

ブログで情報を発信する者自身が言及するのもおかしいが、ネットは第三者(編集)の手が加わえられず、例え間違っていても訂正する者がいない。その点、書籍は幾人もの手を経て作られることから、ネットよりはまだ正確と言える。

ネット上では、誤字や脱字、または言い回しのおかしな文章が散見されるが、最近の書物で誤植はほとんど見られない。その点からしても、ネットの情報よりは書物の方が信用できるというものだ。

古事記の原文など、予備知識がなければ読むことすら叶わない。では、どれだけ困難なのか、その証拠を見てもらおう。下は、古事記の上巻の始まりに当たる部分だ。

 

古事記上卷 幷序

臣安萬侶言。夫、混元既凝、氣象未效、無名無爲、誰知其形。然、乾坤初分、參神作造化之首、陰陽斯開、二靈爲群品之祖。所以、出入幽顯、日月彰於洗目、浮沈海水、神祇呈於滌身。故、太素杳冥、因本教而識孕土產嶋之時、元始綿邈、頼先聖而察生神立人之世。寔知、懸
鏡吐珠而百王相續、喫劒切蛇、以萬神蕃息與。議安河而平天下、論小濱而淸國土。

是以、番仁岐命、初降于高千嶺、神倭天皇、經歷于秋津嶋。化熊出川、天劒獲於高倉、生尾遮徑、大烏導於吉野、列儛攘賊、聞歌伏仇。卽、覺夢而敬神祇、所以稱賢后。望烟而撫黎元、於今傳聖帝。定境開邦、制于近淡海、正姓撰氏、勒于遠飛鳥。雖步驟各異文質不同、莫不
稽古以繩風猷於既頽・照今以補典教於欲絶。

 

読めただろうか? 私には全く読めない。これは漢文か? 

以上から、古事記の内容を理解したいのなら、専門家が翻訳した文章を読むのが手っ取り早い。

 

 

おススメの古事記現代文訳本

 

そこで、紹介したいのが写真の一冊だ。小林晴明さんと宮崎みどりさん共著の、『古事記のものがたり稗田の阿礼が語るゆかいな「日本の神話」』がそれだ。
この本を見付けたのは数年前に上る。当時、古事記を元にしたコメディ小説の代筆をしていたので、自身でも読む必要があり一冊を購入した次第だ。

 

なぜ、この本がおススメできるほど良いかと言うと、何よりも分かり易いからに他ならない。古事記と言えば、古めかしい故事に焦点を当てて、地方の逸話や一部分の記述にばかりページを割いた書籍が多かった。
それが、この「古事記のものがたり」では、原文を読みやすく訳しただけではなく、初めて読む人でも楽しめるようにストーリー仕立てになっている。単に訳したのでは意味も通らないが、それに筋道を立てて説明してくれるので、すんなり理解できるようになっている。

 

 

この本を選んだ理由

 

実は、この本を選んだのには、もう一つ理由がある。

ただ読むだけなら、漫画で書かれた古事記でも悪くない。目的が古事記の理解だとすれば、自身に最も適した一冊を選べばいいからだ。
だが、漫画では詳細に関しては緩慢になる。一枚の絵に対するウエイトが大きくなるので、ディテールが伝わり難くなる。吹き出しでの字数も限られることから、それほど詳しくは書けない。
対して、文章ならいくらでもディテールの描写が可能だ。しかも、古事記のストーリーだけに絞ってしまえば、かなり詳しくて面白い表現が出来るようになる(なるほど、文章を綴ることだけでも困難だが、それはどんなことにも共通する産みの苦しみとしておこう)
以上のことから、漫画よりも文章で読むことが推奨されるわけだ。

では、今回紹介する本はどうかというと、とにかく読み易くて分かり易い。論より証拠で、その一部を見てもらおう。

 

第一話  創世の神々と高天原

ふることに伝う。


この世界のはじまりは、天も無く、地も無く、時間も空間もな い。有るのか無いのかもわからない。混ざりあっているようで、混ざってもいない。ただただうす暗く、もやもやとした状態が果てしなくどこまでも広がっているのでした。呼び名もまだありません。

そのとき、天の中心から、 「た・か・あ・ま・は・ら(高天原)」と呼ぶ声が聞こえたように思われました。すると、天と地が分かれだし、たくさんの小さな光の粒がこの世界に現れたのです。

あめのみなかぬし(天之御中主)の神でした。

 

いかがだろうか? 第一話のさわりだけだが、先ずその読み易さは分かってもらえると思う。文章も簡潔で、小学生でも十分に理解できるレベルだ。
しかも、続きを読みたくなるほど面白い。一冊は256ページあるが、その気になれば一時間程度で読み終えられる。読み応えもあるが、読後感がまた清々しい。ある意味、小説を読んだ時のような気分が残る。

 

しかし、この「古事記のものがたり」を選んだのには他にもワケがある。そのワケとは、この本が著者(小林晴明さんと宮崎みどりさん)の手作りだからだ。従来通りに、ただ出版社に原稿を渡して、あとは流れ作業で書籍ができてくるのではない。上記した著者の二人が、一冊一冊を彼ら自身の手で作っていたのを知ったからだ。
最近の出版物には少なからず疑問が残るが、彼らの本は信用できる。何か、手に持った時に温かみを感じる。実際にはただの勘違いに過ぎないのだが、そう思えるほどに手作りの書籍に心を動かされたのだ。
彼らの、古事記に対する思い入れは一角以上のものがあり、その気持ちが文面にまで表れている。ベストセラーなどにはならなくてもいい、ここに本物があることを知っていさえすれば、それだけで幸せになれるというものだ。それだけに、売られているのはネットの上だけで、町の本屋に行っても手に入らない。Amazonでも中古書しか買えない。

 

こちらが『古事記のものがたり稗田の阿礼が語るゆかいな「日本の神話」』のホームページ

日本の神話・古事記のものがたり/サン・グリーンsun-green

 

 

終わりに

 

上のリンク先では、彼らがどうして古事記に興味を持ったか、そしてまたどうして手作りで本を出版しようと思ったかについても書かれている。

とにかく、何度も言うが面白い。この二人が面白い。動機も全て面白い。だから、この本は読む価値があり、胸を張っておススメできるのである。

ネットでも読めるのだが、それほど高くもないので、できれば一冊は持っておきたい本である。

 

 古事記のものがたり稗田の阿礼が語るゆかいな「日本の神話」は、1600円(税別)で購入可能だ。