2016年に公開予定の映画は、何もアクションやファンタジーばかりではありません。
上記ジャンルの映画に押されて少々影は薄いですが、数本のラブロマンスも話題に上っています。
今回は、その中でもおススメの作品をご紹介します。
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タイトルは、「世界一キライなあたに:Me Before You」。
直訳すれば、あなたの前の私となりますが、原作の邦題はきみと選んだ明日となっています。
邦題は、「世界一キライなあなたに」に決まりました(センスの悪さは変わりません)。
目次
ベストセラー小説の映画化
多くの映画が小説を題材として作られます。ほとんどの場合、ベストセラー小説を元に脚本化されます。とは言え、必ずしも原作通りには作られません。
2009年にハリウッドで映画化されたドラゴンボール・エボリューション(Dragonball Evolution)は、今世紀始まって以来の駄作となりました。監督が独創性に固執したあまり、原作を無視した際たる結果です(もっとも、この映画は、日本のメガヒット漫画であるドラゴンボールを実写映像にしたもので、原作は小説ではありません)。
そのおかげで、日本での興行はおろか海外でも大失敗、制作費すら回収出来ませんでした(予算が約3000万ドルのところ、売上は約900万ドルしかありませんでした)。
トワイライト・サーガ(Twilight Saga)も、英語圏でヒットした書籍(シリーズ物)を題材とした映画でした。ステファニー・メイヤー(Stephenie Meyer)作の怪奇ロマン小説(ドラキュラの前衛的ラブロマンス映画)を原作としています。
原作に忠実に作られたかどうかは知る由もありませんが、出来はそれほど悪くなかったように思います。俳優の経験不足は否めませんでしたが、若い世代には好んで見られた映画でした。
この「世界一キライなあなたに」も、どちらかと言えば若い世代にアピールする映画かもしれません。
「世界一キライなあなたに」の原作は、2012年に、ジョジョ・モイズ(Jojo Moyes)さんによって書かれた同名の小説です。
彼女の小説は11カ国語に翻訳され、ニューヨーク・タイムスでもベストセリングノベルとして掲載されています。
世界中の女性を虜にしただけのことはあり、ロマンティック小説賞(Romantic Novel of the Year Award)に二度も輝いた、このジャンルの第一人者です。
彼女の2015年に刊行された小説、After Youは、その続編です。

著者近影

制作
監督: テア・シャロック(Thea Sharrock)
制作: ニュー・ラインシネマ(New Line Cinema)、サンスゥエプト・エンターテインメント(Sunswept Entertainment)
配給: メトロ・ゴールドゥイン・メイヤー(Metro-Goldwyn-Mayer)
テア・シャロックさんは、主にイギリスの舞台を監督してきた方で、一発勝負の劇場で腕を鳴らした映画人です。
それだけに、この映画はかなり完成度の高い作品となっているようです。
それが証拠に、公開日か決まるまでには、スケジュールが二転三転しています。
本作品が、メジャー映画での処女監督作となるのでしょうか、その手腕に期待が寄せられています。
メガヒットドラマの女優が主演
ただ、この映画のヒロインを演じる女優は、あのHBOの空前のヒット作、ゲーム・オブ・スローンズ(Game of Thrones)の主役、エミリア・クラーク(Emilia Clarke)さんです。
スローンズでは、デナーリス・ターガリエン(Daenerys Targaryen)に扮しています。
数字が下がれば直ぐに降板させられるのが、アメリカドラマの常です。
映画並みの予算が投じられ、俳優達も血眼になってその役どころを競います。
ゲーム・オブ・スローンズと言えば、今年で6シーズン目を迎えるドル箱ドラマです。
その主演の一人ともなれば、中途半端な原作を映画化したような作品には目もくれません。
ましてや、他の映画(ターミネーター・ジェニシス、サラ・コナー役、Terminator Genisys, Sarah Connor)でも主役を演じるほどの人気女優です。
よほど、原作が良くなければ、出演することすら控えるでしょう。
本作品では、ルイス・クラークを演じています。
この写真よりも、
こっちの方が見覚えがあると思います。
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ストーリーのさわり
ここでストーリーを明かしてしまっては、せっかくの楽しみがぶち壊しです。
そこで、ほんの少し、さわりの部分だけを紹介し、残りは映画が公開されるまで待つことにしましょう。
「きみと選んだ明日」とのタイトルで、日本語でも翻訳されています。
原作を読んでみるのも面白いですよ。
あらすじ
ルイス・クラーク(Louisa Clark)は、地元のカフェで働く26歳の健康な女性。しかし、カフェの閉店と同時に職を失うことに。彼女の双肩には家族を扶養する責任が重くのしかかり窮地に立たされる。そして、職を探すルイスがようやく就けたのは、ある障害を負った男性への介護役だった。
この障害を負った男性が、もう一人の主人公であるサム・クラフリン(Sam Claflin)さん扮するウィル・トレイナー( Will Traynor)です。
ウィルは、若くして富を手にした成功者。だが、人生の女神は微笑まず、ある日の事故により彼を不具者としてしまう。障害を背負ってはもはや生きる望みのないウィルを、何とか自殺から思い留まるようにと、彼の母が手配したのがルイスの応募してきたケアギバー(介護人)の仕事だった。
これ以上の暴露はご法度です。ここから先は映画を見ましょうね。

類似した映画
健康を害した男性に、健康で美しい女性が介護にやってくる。
映画においてこのようなストーリーは、けっして珍しくありません。
男性は社会的地位の高い人物で、心身ともに丸みを帯びた人格者である場合がほとんどです。
ただ、事故や病気によりその性格が歪み、それを介護に来た女性の母性が癒やす、というのが大方のストーリーです。
しかも、決まって男性は無類の金持ちと来ています。
懐かしいところでは、ジュリア・ロバーツ(Julia Fiona Roberts)とキャンベル・スコット(Campbell Whalen Scott)主演の、愛の選択(Dying Young、1991年)が思い出されます。
ジャック・ニコルソン(John Joseph "Jack" Nicholson)とヘレン・ハント(Helen Elizabeth Hunt)主演の映画、恋愛小説家(As Good as its Gets)も、シチュエーションこそは異なりますが、似たようなプロセスを辿ります。
ある社会に順応できない男性作家を、貧しくてもひたむきな女性の優しさがその心に変化をもたらす、といった内容でした。
「世界一キライなあなたに」も、多分に漏れず、似たようなストーリーで描かれています。
ただ、この映画のヒロインは、これまでのラブロマンスに登場したどの主役よりも明るく喜びに溢れていて、劇中の主人公ばかりではなく、見ている観客の気持ちさえも朗らかにしてしまいます。
ルイスが少しおバカに見えるところも、また共感できる部分です。
屈託のない笑顔は視聴者との物理的な距離感を無くし、まるであなたの直ぐ隣にいるかのような親近感すら覚えさせます。
ルイスは……、おおっと、また書いてしまうところでした。この続きは、下のトレーラーを見て下さい。
「世界一キライなあなたに:Me Before You」は、今年一番のラブロマンス映画となるでしょう。
ぜひ、ご覧下さい。
終わりに
蛇足になりますが、せっかくゲーム・オブ・スローンズの話が出たのですから、もう少しばかり追記しておきましょう。
近々、続編が放送される予定ですが、シリーズを重ねてもその勢いが全く衰えないドラマです。
途中失速することもなく、よくも次から次へと面白いアイデアを盛り込んでくるものだと感心してしまいます。
原作は、ジョージ・マーティン(George R. R. Martin)氏による、氷と炎の歌(A Song of Ice and Fire)です。
しかし、このドラマの中で最も注目すべきは、かのティリオン・ラニスターです。
ピーター・ディンクレイジ(Peter Dinklage)扮するティリオン無くしては、このドラマは成り立ちません。
不遇な身の上を恨みながらも、どこか優しさと人間味に溢れるキャラクター。
ユーモアと皮肉を言わせれば、どの国の騎士にも引けを取らない子鬼(インプ【Imp】、ドラマの中でもこう呼ばれています)です。
二度のエミー賞を受賞し、次回のシーズン6にも勿論登場しています。
今、最もホットな俳優ではないでしょうか。
個人的には、彼が一押しです。

「世界一キライなあなた:Me Before You」英語版のトレーラーです。
こちらも応援している映画です。記事だけでも、ぜひご覧下さい。日本での公開は未定です。
「世界一キライなあなた」は、5600万ドルの予算で、2億500万ドルもの売上を記録している作品です。
主人公の演技も然ることながら、その愛らしいルックスでも話題になっています。
近年のラブロマンス映画には珍しい、ただのお涙ちょうだい的な内容ではありません。
愛することの喜びと痛みを謳った、心から感動する作品です。
日本での公開は、10月1日(土)です。
お楽しみに!