さて、いかがなものかと?

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映画「A Monster Calls・怪物はささやく」は日本での公開が未定なぜひ見たい感動作品

子供が読むには健全でなさそうな、それでいて読めばベストセラー作品よりも感動するような小説は、探せばけっこう見つかります。

図書館の児童小説コーナーには、そんな世に埋もれた名作が勢揃いしています。

文科省推薦図書などと、ご大層なお墨付きのある小説もありますが、実際には自身で読んでみなければその良さは分かりません。

 

ここに一冊のヤングアダルト小説があります(日本のヤングアダルトとは少し違う)

タイトルは、モンスターコールズ(A Monster Calls、邦題は「怪物はささやく」)

課題図書としても取り上げられるなど、発売当時はそれなりに話題になった小説です。

 

その児童書が、この度映画化されました。

 

 

 

 

目次

 

 

不遇な原作者の物語

 

「モンスターコールズ・怪物はささやく」(以下「怪物はささやく」と記載)は、 パトリック・ネス(Patrick Ness)氏による小説です。

イギリス発祥の小説賞にはカーネギー賞(The Carnegie medal)というのがあり、その年のもっとも際立つ児童小説に贈られます。

ネス氏は、この賞を二年連続で受賞しており、そのうちの一つは「怪物はささやく」によるものでした。

 

しかしながら、この小説の原案はシーヴォン・ダウド(Siobhan Dowd)さんのものでした。

彼女自身も小説家でしたが、著書の数は多くなく、生涯を通して4冊しか書かれていません。

その彼女の遺作ともなるべく原案を、代わって書き上げて世に送り出したのが、ネス氏でした。

 

ダウドさんは、小説家というよりは、むしろエディターやアクティビスト(主に人権運動)としての顔を持っていたようです。

2004年に乳ガンと診断されてからは、病魔と闘いながら執筆を続けていました。

ところが、2007年の8月21日、齢47にしてあの世へと旅立たれたのです。

 

惜しくも、「怪物のささやき」の刊行を見ずに逝去されましたが、幸いにも彼女の担当編集者がネス氏の担当だったので、彼女が亡くなる前に契約を交わして、小説を完成するに至ったのです。

そして、2011年に同書が発行されるや否やベスト小説として称賛され、これによりネス氏は二度目のカーネギー賞に輝きました。

ちなみに、このカーネギー賞はイギリスで最も古くかつ権威がある賞で、あの「ハリー・ポッター」の著者であるJ.K.ローリングスさんでももらってはいません。

 

さらに、皮肉と言っては失礼ですが、亡くなられたダウドさんは、2009年に自身の小説「ボグ・チャイルド(Bog Child)」によってカーネギー賞に輝いています。

彼女の死後、二年が経ってからの受賞でした。

 

 

 

 

夢と現実の狭間を小説化

 

あらすじのコーナーでもう一度詳しくお話しますが(小説についてね)、「怪物はささやく」は原案者の実体験を基にした小説です。

ダウドさんがガンを患い、その間に生じた様々な感情を、子供の視点から描写したのがこの作品です。

それ故に、ストーリーはけっして明るくなく、多くの小説に見られるハッピーエンディングとはなりません。

 

終始、重く陰鬱とした空気がのしかかり、あたかも病人が自己の境遇を嘆いているかのような雰囲気に包まれています。

小説中に載せられている挿絵にしても、悪夢を連想させるイメージでいっぱいです。

このイラストはジム・ケイ(Jim Kay)さんの手によりますが、ネス氏と同時に、2012年のカーネギー賞を獲得しています。

 

少し余談になりますが、パトリック・ネス氏はアメリカの出身で、元を正せばアメリカ人です。

それが、何を思ったのか、28歳でロンドンに移住し、それ以来はイギリス人として市民権を得ています。

同じ英語を母国語とする国で、何を好んで二重国籍になろうとしたのかは謎ですが、そんな不思議さが小説に生きているのかもしれません。

 

 

 

 

 

制作陣とキャスト一覧

 

制作陣

監督: J・A・バヨナ(J.A. Bayona) 

原作: パトリック・ネス(Patorick Ness)

脚本: パトリック・ネス

制作: ベレン・アティエンザ(Belén Atienza)、ミッチ・ホウイッツ(Mitch Horwits)、ジョナサン・キング(Jonathan King)

配給: ユニバーサル・ピクチャーズ(Universal Pictures in Spain)、フォーカス・フィーチャーズ(Focus Features)

 

キャスト

リーアム・ニーソン(Liam Neeson)、モンスター

フェリシティー・ジョーンズ(Felicity Jones)、お母さん

シガニー・ウィーバー(Sigourney Weaver)、おばあさん

トビー・ケベル(Toby Kebbell)、お父さん

ルイス・マクドゥーガル(Lewis MacDougall)、コナー少年

 

監督は、「インポッシブル」や「永遠の子供達」を撮った、バヨナ氏です。

2018年にはジュラシック・ワールドの続編を監督する予定でいます。

原作はパトリック・ネス氏の同名小説で、彼自身が脚本を手がけました。

 

リーアム・ニーソンさんは、もはや説明の必要もない名優です。

彼の低音が響く特徴のある声が、モンスターを演じています。

 

シガニー・ウィーバーさんは、ここのところおばあさん役が定着しつつあるようです。

「白雪姫」では悪い魔女を、「エイリアン2」では強い女を演じていましたが、さて今回はどんなおばあさんに扮しているのでしょうか。

 

フェリシティー・ジョーンズさんは、「博士と彼女のセオリー」で一躍時の人となりましたが、次回作である「ローグワン:スター・ウォーズストーリー」での活躍が注目されています。

今回はコナー(少年)の母親役で出演しています。

 

主演は、勿論コナー少年(ルイス・マクドゥーガル)のはずですが、モンスターの存在が大き過ぎて少々影が薄いです。

まだまだ新人の域を出ない、今後の演技が注目される役者さんです。

 

 

映画のあらすじ

 

小説を読まれた方は既にご存知でしょうが、この映画は少年の心の中を描写した作品です。

 

主人公であるコナー少年は13歳。

学校ではイジメにあい、家へ返ってくると病気に苦しむ母がいます。

心の中を打ち明けられず、世の中の不条理を一身に受けているようで、常に葛藤の中で生きています。

 

眠りに就くと悪夢を見、やがてそれは少年を絶望の淵へと追いやります。

 

そんなある日、夢なのか現実なのかは分からない、今までには見たこともないような不思議な光景を目にします。

コナー少年の目の前に現れたのは、顔も体も木でできた、おぞましい姿をしたモンスターでした。

夜中の12時を少し回る頃になると必ず現れる木の怪物から、コナー少年は3つの物語を聞かされます。

 

そして、怪物の話が全て終わると、次はコナー少年が真実を打ち明ける番でした。

 

さて、怪物は少年から真実を聞き出してどうしようと言うのでしょうか、そしてその真実とは?

 

ネット上では、この物語の概要が至るところで語られていますが、あまり読まない方がいいかもしれません。

意見などは人それぞれで、映画を見る前におかしな先入観で毒されてもいけません。

新作映画を見るのなら、なるべくニュートラルな状態で劇場に行かれることをおすすめします。

 

今回のあらすじも、このくらいで潮時と致しましょう。

 

 

 

フランシスコ・ゴヤの版画を髣髴させる挿絵です。

 

 

終わりに

 

原作と映画の作る世界観には、おおよそ埋まらないほどに深い溝が生じます。

今回の作品がどの程度原作から乖離しているかが気になりますが、トレーラーを見る限りは、原作とは違う創造がされているようにも感じます。

原作と映画を違う作品と見なすのが、ある意味、映画を心行くまで楽しむ方法かもしれません。

 

本作においては、リーアム・ニーソンの演技が要となっています。

ほぼ声による出演ですが、あたかもその場に存在するかのような錯覚を覚えます。

後は、少年の演技がこの映画の善し悪しを決めそうですね。

 

小説を読んだ人は、かなりの割合で感動されているようです。

はたして、本作はどの程度の出来になっているのでしょうか?

日本での公開が待たれます。

 

ただ、残念なことに、現時点では日本の公開は未定です。

アメリカでは10月21日に公開が決定しています。

ぜひ、日本でも公開して欲しいところですね。

 

 

モンスターコールズ(A Monster Calls)トレイラー

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