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さて、いかがなものかと?

暮らしに役立つ情報をメインとし、超常現象や都市伝説、さらに新作映画のレビューを掲載しています。

トム・ハンクス主演の失敗作?「A Hologram for the King・王様のためのホログラム」を検証する

毎年、数百にも及ぶ映画を製作し公開するハリウッド。

予算はピンキリですが、少なくとも数十億の資金が必要となります。

いくら低予算でも素晴らしい映画は作れるもので、シルベスター・スタローンが主演した「ロッキー」は、わずか1億円ほどの予算で数百億の収益を叩き出しました。

 

しかしながら、全ての映画がヒットするわけではなく、中には極端な赤字に終わる作品も少なくありません。

 

今回は、二度のアカデミー賞に輝き、今や1作品の出演料は20億以上とも噂されるトム・ハンクスを主演に迎たコメディ映画、「A Hologram for the King・王様のためのホログラム」を紹介します。

 

 

少し若い頃の写真です。

 

 

低予算映画の弱み

 

ビッグバジェットの映画に比べて、スモールバジェットの映画は、よほどのことがない限りヒットには漕ぎ着けません。

なるほど、低予算の映画は無数にありますが、そのほとんどは少しの利益に甘んじているかほぼ赤字で終わります。

理由は様々ですが、やはり宣伝広告費が捻出できないのが大きな要因となります。

 

勿論、前述した「ロッキー」のように、口コミにより爆発したケース(ブレア・ウィッチ・プロジェクトなど)も珍しくはないのですが、そこはタイミングとプラスαの要素が必要となります。

常に狙って起こせる流行などはないので、ただ偶然に頼るしか術はありません。

しかも、脚本への費用と俳優のギャラを差し引けば、自ずとスケールは制限されます。

 

有名な俳優が低予算の映画に出る場合は、よほど原作か脚本に惚れ込んだのかもしれませんね。

 

 

Hologram for the Kingの場合

 

実はこの映画、日本語のタイトルはありません。

というよりも、日本で放映されるかどうかも分かりません。

それほど興行収入も悪く、話題性に欠ける作品と見なされているようです。

 

この映画に費やされた予算は約30億円で、日本の業界からすればそれほどローバジェットではありません。

しかしながら、トム・ハンクスさんと二、三人の俳優以外は、ほぼ知名度のない役者さん達です。

小さな映画や劇場で見かける方たちが多く、もし日本で公開されることになっても、それほどのニュースにはならないでしょう。

 

ロケ地には、モロッコや西ヨーロッパが選ばれました。

舞台となるのはサウジアラビアですが、情勢が不安定なので、撮影は近隣の安全な地域で行われたようです。

つい最近でも、イスラム教徒が人口の9割を占める国でテロがあり、多くの犠牲者が出たほどです(謹んでご冥福をお祈り致します)

ダ・ヴィンチ・コードでは900億円もの興行収入を上げた俳優が、宗教的騒乱にでも巻き込まれては一大事です。

ストーリーも、アラブの春が起こる前を設定しています。

 

この映画に出演するに際して、はたしてハンクスさんはいくらのギャラを要求したのでしょうか?

ここからは私の推測でしかありませんが、恐らく億の金額には届いていないでしょう。

脚本家が親友なのか、それとも脚本がよほど面白かったのは分かりませんが、収入や肖像権を度外視しても出演する価値を見出したのだと考えられます。

 

 

トム・ハンクスのリベンジ?!

 

今回の映画を撮るに当たっては、以前に彼が主演したある作品が脳裏を過ぎったかもしれません。

それは、1986年に製作された、「さよならは言わないで(Every Time We Say Goodbye)」です。

この映画も、低予算で作られた、中近東が舞台となる作品でした。

 

映画は、負傷したアメリカ空軍のパイロットが、イスラエル(舞台はエルサレム)での療養期間中に地元の若い女性と恋に落ちるお話です。

戒律が厳しく、伝統を重んじるユダヤ人の家族の中で育った彼女は、ハンクス扮するデヴィッドに恋をしますが、周囲はそれを受け入れません。

やむなく二人は、恋の逃避行に走るのですが……。

 

イスラエル版の「ロミオとジュリエット」だったわけですが、それほど大衆には受けず、収益はわずかに2900万円($278,623)に達する程度で、興行としては失敗に終わりました。

 

今作の「A Hologram for the King」では、舞台の設定も似ていて、ユダヤ人が相手のシチュエーションともなれば、ハンクスさんにとってはチャレンジする価値のある映画だったのではないでしょうか。

リベンジとまでは言わずとも、心のどこかにシコリは残っていて、それを払拭するためにも撮影に望んだと考えられます。

しかも、前回(さよならでは)はシリアスタッチの作品でしたが、今回はコメディにして挑んだのです。

 

しかしながら、この映画に関しては、銀幕の女神は再びハンクス氏を見限りました。

本作品の興行収益は、現在までで約5億円($4.7million)ほどのリターンしかなく、アジア系諸国での公開は今も見合わされています。

今後の巻き返しがあればいいのですが、欲に目のくらんだ映画業界では札束を運んでくれる作品にしか興味を示さず、話題の端にも上らない映画を上映する劇場はほぼ無いと見て間違いありません。

 

  

映画のあらすじ、製作陣、キャスト

 

あらすじ

アメリカ人のビジネスマンが、仕事と人生を賭けて、見知らぬ他所の国で奮闘するコメディタッチのストーリーです。

トム・ハンクス扮するアラン・クレイは、ある企業のダメビジネスマンです。

離婚で家は取られるし、仕事が上手く行かなくなると見るや、サウジアラビアに飛んで無理やり商談をまとめようと必死です。

しかし、商習慣も風習も違うサウジアラビアでは彼の思惑は見事に外れ、ポケットにお金が入ってくる代わりに靴の中が砂まみれになる日々を過ごします。

サウジで一山当てたいアランは、ある王族が計画する都市開発に一枚噛もうとするのですが……。

 

いくら売れていないとは言え新作映画ですので、これ以上の暴露は慎むとします。

この続きは……、DVDが出ることを願いましょう。

 

 

製作陣

監督:トム・ティクバ(Tom Tykwer)

原作:デイブ・エッガーズ(Dave Eggers)

製作: ステファン・アルント(Stefan Arndt)、ゲイリー・ゲッツマン(Gary Goetzman)、アルカディー・ゴルボビッチ( Arcadiy Golubovich)、トム・ハンクス(Tom Hanks)、 その他。
脚本:トム・ティクバ

配給:ライオンズゲート(Lionsgate)他2社。

 

 

キャスト

トム・ハンクス(Tom Hanks)

サリタ・チョウドリー(Sarita Choudhury)

サイズ・バベット・クヌッセン(Sidse Babett Knudsen)

トム・スケリット(Tom Skerritt)

アレキサンダー・ブラック(Alexander Black)

 

トム・ティクバさんは、「パフューム:ある人殺しの物語(perfume :The Story of a Murderer)」の監督を努めました。

かなりマニアックなストーリー展開がお好きなようです。

 

余談ですが、上記の映画にはアラン・リックマン(Alan Rickman)さんが出演されていました。

ハリー・ポッターシリーズのスネイプ役でお馴染みの名優です。

この度公開された「アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅」では、前作に引き続きアブソレムの声を担当していました。

そして、残念なことに、この作品が彼の遺作となってしまいました(ご冥福をお祈り致します)

 

トム・スケリットさんは、「エイリアン(Alien)」、トムクルーズ主演の「トップガン」の頃から名脇役として知られています。

夥しい数のテレビドラマや映画に出演されている、息の長い役者さんです。

 

サリタ・チョウドリーさんは「ミシシッピー・マサラ(Mississippi Masala)」でデビューを果たし、それ以来はひっぱりダコの女優さんです。

「ハンガー・ゲーム」では2作品ともに出演されています。

 

サイズ・バベット・クヌッセンさんも、個性派俳優としてデンマークを拠点に活動しています。

トム・ハンクス主演作、「天使と悪魔」の続編、「インフェルノ(Inferno)」では、ドクター・シンスキーとして登場します。

 

他にも、味のある役者さんが脇を固めているので、かなり面白い映画だと思います。

 

 

 

カーリー・レイ・ジェプセン"I Really Like You"の一場面。

 

 

終わりに

 

これは私の意見ですが、宗教的なタブー(キリスト教や仏教を除く)に触れた映画はなかなかヒットし難いのでしょうね。

勿論、そこには根回しが不可欠で、それこそ「地獄の沙汰も金次第」ではありませんが、潤沢な資金が必要となるようです。

トム・ハンクスさんが主演された2つの映画では、そこまで手が回らなかったのかもしれません。

 

「ロッキー」が大ヒットしたのは、多くのイタリア人の心に響いたのと、それまでハリウッドの時流となっていた「負け犬の法則(私が造った言葉です)」を打ち破ったためだと考えられます。

当時、巷では、アメリカン・ニューシネマなどと呼ばれる、本来の目的からは逸した、何か釈然としない結末で終わる映画が主流でした。

ひょっとすると、「A Hologram for the King」は、そんなアメリカン・ニューシネマを思い出させるような、暗いエンディングが控えていたのかもしれません。

 

しかしながら、トム・ハンクスといえば、サタデー・ナイト・ライブ出身のコメディアンです。

笑いのセンスは抜群で、どんな状況をも笑いに変える力があります。

最近はシリアスな役柄が続いていますが、笑いを極めた人にこそ可能な演技ができる人だと感じています。

 

例え映画館では公開されなくても、絶対に一見の価値がある映画です。

DVDやHulu(他の録画放送サイトでも)で放送されるときには必ず見たい、おススメの作品です。

 

「A Hologram for the King」のトレイラー

youtu.be

 

おまけ

 

歌手のカーリー・レイ・ジェプセン(Carly Rae Jepsen)さんのヒット曲、"I Really Like You" は、トム・ハンクスさんが出演したことでも話題になりました。

聞くところによると、このMVにはノーギャラで出たらしく、それがまた思わぬ反響を呼びました。

日本でも友情出演などはありますが、ギャラは発生しているはずです。

 

あのマドンナさんも、友人(ほとんど知らない人だったらしいが)の結婚式に突然現れては、「歌は歌えないけど踊りを見せるわ」なんて言ってその場を大いに盛り上げたことがあります。

金には厳しいハリウッドのスターとはいえ、人間味が垣間見えた瞬間でした。

トム・ハンクスさんがMVに出たのも、きっとこんな気持ちだったのでしょうね。

 

そこからすれば、低予算の映画でも本人が好きで出るのなら、お金は問題では無いようです(十分大金持ちですし)

 

 Carly Rae Jepsen - I Really Like You

youtu.be

 

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