整形手術により以前とは別人の顔を持ったレネー・ゼルウィガー(Renée Zellweger)さんですが、新作映画についてはいかがでしょうか?
前作、前前作が人気なだけに、今作にも期待がかかります。
あるOLの日常を描いたコメディー作品として、前2作共に世界中でヒットとなりました。
しかしながら、今作に関してだけはいささか苦戦しそうです。
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「ブリジット・ジョーンズの日記 ダメな私の最後のモテ期」が日本でのタイトルですが、英語では「Bridget Jones's Baby」となっています。
どこでどうすればここまでタイトルが変えられるのかが謎ですが、個人的にはヒットすることを願っています。
では、内容を見てみましょう。
地に足の着いたコメディー?
普通、コメディーというと、日常のごく一部分にフォーカスして、それをまたちょっと大袈裟に表現することで面白さを演出します。
例えば、メガヒットドラマである「フレンズ(Friend's)」なども、ごく一般的な社会人のありふれた日常の一部を切り取って、その中にある面白さや奇妙さに焦点を当てています。
おそらく、実生活で起こったとしてもほぼ見落としそうな事を、あえてクローズアップすることで面白さの再発見をしているわけです。
これは、アメリカのスタンダップコメディー(Stand up commedy)などでも同じで、特別に面白い作り話をしているのではありません。
日本の漫才やコントでは、先ずあり得ないシチュエーションを作り出して演じていますが、アメリカのコメディーはむしろどこにでも転がっていそうな話を使います。
それだけに、共感する人も多いのですが、少しでも笑いのツボが外れると全く面白くなくなります。
私は気に入っていたのですが、大衆からは非難の的になったのが、この夏公開された「ゴースト・バスターズ3」でした。
ある意味、ギャグが飛躍し過ぎていた、とも言えます。
それと、女性コメディアンのギャグが、最近のアメリカでも問題になっている、差別と重なったのかも知れません。
いずれにせよ、コメディー映画では、監督が観客の視点を理解していなければ面白い作品にはならないのです。
この「ダメな私の最後のモテ期」でも、地に足の着いた、どんなOLの日常にでもありそうな面白さにフォーカスしています。
一作目の監督が返り咲き
「ブリジット・ジョーンズの日記」では、それまではテレビでのドキュメンタリーを主に手がけていた、シャロン・マグワイア(Sharon Maguire)さんが監督を努めました。
ドキュメンタリーの監督だけに、人の生活を観察するのが非常に上手です。
その観察眼が生かされたのが、まさに「ブリジット・ジョーンズ」の処女作だったのです。
しかし、どうしたわけか、二作目の「きれそうなわたしの12か月」ではビーバン・キドロン(Beeban Kidron)さんに変わりました。
この方もドキュメンタリー作品を主に行っていたのですが、「きれそうなわたしの12か月」で監督に起用されました。
原作者のフィールディング(Helen Fielding)さんがマグワイヤさんと友人だったこともあり、一作目での制作は比較的スムースに進んだようです。
二作目で問題があったとは聞きませんが、評論家からはさんざんに酷評されています。
「日記」の成功は、作る前からほぼ決まっていたようなものでしたが、二作目については期待通りには行きませんでした(本国アメリカのマーケットでは)。
しかし、海外での人気が後押ししたことで、結果的には一作目よりはやや少ない興行利益で終わりました。
そこで制作側は、三作目を作るに当たっては、一作目のマグワイヤさんを再起用することにしたのです。
滑り出しはやや不調
「ダメな私の最後のモテ期」は評価もそこそこで、興行的にも成功を収めています。
しかし、アメリカでの興行は制作費にも及ばず、好き嫌いが別れる結果となりました。
爆発的なヒットを飛ばしているのはヨーロッパ圏で、特にイギリスでの成績が特出しています。
今後、日本での売上を加えれば、二作目に近い収益が見込めるでしょう。
とは言え、9月に公開されて以来、アメリカでの客足はほぼストップした常態で、一作目ほどの好感度は得られていません。
セッティングがイギリスであることから、イギリスでは受けていますが、それが帰って反感を呼んだようです。
なぜなら、パトリック・デンプシー(Patrick Dempsey)さんまでがイギリス人役をすることに、違和感を覚えたのかも知れません。
そもそも、イギリスの小説にアメリカ人の俳優を主役に立て、無理やりイギリス訛の英語を話させることが気に食わないのでしょう。
パトリック・デンプシーさんと言えば、医療ドラマの「グレイズ・アナトミー」で主役を演じた、アメリカのお茶の間ではヒーローに匹敵する役者です。
2006年から登場し、10年間も主役の座に着いていただけに、イギリス人となったのが面白くなかったのでしょう。
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ストーリーに飽きが来た?見どころは?
コメディー作品としては、今でも一作目の面白さを引き継いでいます。
今回はあらすじを記しませんが、ギャグのパターンは前作とほぼ同じです。
穿った見方をすれば、どこで笑えるシーンが来るのかが予想出来てしまいます。
そんなところが、アメリカのマーケットで成功しなかった理由なのではないでしょうか。
それでも、オチが全て分かって面白くない、わけでもありません。
笑えるには笑えても、ある程度の予測がつくことで、笑いの量が半減してしまうようです。
日本ではどうだか知りませんが、全ては翻訳にかかっていると思います。
これは、観客が既にこのコメディーに飽きが来ているとも考えられます。
そこで、見どころはどこかとなるわけです。
一作目から15年が経過した主人公が、どのような人生を送っているのかが気になります。
惨めな人生を送っていないか、または仕事に関しては成功しているのかなど、パーソナルライフに焦点が当たります。
そして、最も観客が知りたいのは、彼女のラブライフ(男関係)がどのように変化しているのかが興味の的となるはずです。
私には、これまでの作品も合わせると、同じ地点から出発してはまた同じ地点に逆戻りをしているように感じてしまいます。
基本的には何も進歩していないようで、最後には「実はこれほど成長しています!」的なストーリーになっていますが、その実は何も変わっていないというのが見立てです。
ストーリーそのものにハプニングがなく、順当な流れのままに進んで行くのが見て取れます。
正直な気持ちを吐露すれば、あまり劇場にまで行って見たい映画だとは思いません。
終わりに
個人的には、ヒットして欲しい映画であることに違いはありません。
なぜなら、拳銃をドンパチやって、人をぶっ殺していい気になっているような映画ではないからです。
「バイオハザード:ザ・ファイナル」など、内容もなければ面白味もなく、ただスクリーン上でゾンビを殺しまくるだけの映画です(あんな映画は、演技を知らなくても主役になれます)。
今作の「ブリジット・ジョーンズ」は、いささかマンネリ化したコメディーとは言え、ハートフルな作品でもあり、見る人の心にほんのり暖かさを運びます。
少なくとも、大根役者が雁首を揃えたような三文映画とは異なり、しっかりとストーリーを追いたくなる作品です。
それ故に、出来るだけ多くの人に見て欲しいと思うのです(それが劇場ではなくてもです)。
もし、この映画が「あり」か「なし」かと訊かれたら、勿論「あり」だと応えます。
一日違いの公開ですが、こちらは絶対のおすすめ作品です。
「ブリジット・ジョーンズの日記 ダメな私の最後のモテ期」は、10月29日(土)の公開です。
ぜひ、お楽しみに!