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映画「ケイト・プレイズ・クリスティーン」は評価通りの作品か?事実を撮った2本の映画

1974年、アメリカはフロリダで、テレビの生放送中に不幸な死を遂げた女性キャスターがいました。

この事件はその後映画化され、近く日本でも公開されます。

しかし、なぜ今このような映画を、たとえ小規模な劇場とはいえ上映するのか、その真意のほどは図りかねます。

 

 

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不幸な死を遂げたのは、クリスティーン・チャバック(Christine Chubbuck)さん、当時29歳でした。

映画は、「ケイト・プレイズ・クリスティーン(Kate plays Christine)」とのタイトルで2016年のサンダンス映画フェスティバルに出品され、高評価を得たようです。

この映画がどうして今話題になっているのかは知る由もありませんが、少し気になったので取り上げてみました。

 

巷で評価されている通りの作品なのか、その真偽の程を探ってみます。

 

 

ニュースリポーターの悲劇

 

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映画の話をする前に、先ずはストーリーの発端となる事件について知る必要があります。

今から40年以上も遡ったある日、それはフロリダのテレビスタジオで起こりました。

ABC系列のWXLT-TVのスタジオでは、その日も朝から予定通りのプログラムが進行されていました。

 

番組名はサン・コースト・ダイジェスト(Suncoast Digest)、ローカル番組としてはかなりの人気を誇るトークショーでした。

このトークショーの司会が、クリスティーンさんだったのです。

その日も9時から番組が放送され、最初の8分間は何事もなく順調に進んでいました。

 

しかし、その日だけはいつものスケジュールとは違い、普段は後回しになるはずのニュースが最初に読まれたのです。

番組の冒頭はトークショーと決まっており、スタジオではゲストが出番を待っていました。

彼女がちょうど3つ目のニュースを読み終わり、前日にサラソタ空港で起こった事件の映像が流れ始めた途端、何らかの不具合により映像がフリーズしそれ以上は流れなくなってしまいました。

 

すると、クリスティーンさんがカメラに向かい、「最も新鮮な情報を“激烈に”しかも生で届けるというチャンネル40の信条を守るために、あなたは初めて目撃することになります-自殺の現場を」("In keeping with Channel 40's policy of bringing you the latest in 'blood and guts', and in living color, you are going to see another first—attempted suicide.")と言うと、やにわに拳銃を取り出したのです。

紙の袋に入れられた拳銃は、視聴者が毎朝見ていたスタジオのニュースデスクの下に隠されていました。

そして、クリスティーンさんは、拳銃を自身の右耳の後ろに当てると、躊躇することなく引き金を引いたのです。

 

この悲劇を元にしてドキュメンタリー調の映画を作ったのが、ここでお話する「ケイト・プレイズ・クリスティーン」です。

 

 

映画となったクリスティーン

 

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この映画は、ドキュメンタリータッチで作られていますが、実は全くのフィクションです。

いくら事実だけを綴るドキュメンタリー映画でも、監督や俳優の見たことや感じたことを挿入すれば、それはもはやドキュメンタリーとは呼べません。

今作では、無名の女優がクリスティーン本人に成り切って(?)演じていますが、むしろそこにこそ現実と映画のギャップが露呈してしまった、と感じてしまいます。

 

女優が、ただならぬ努力を払ってクリスティーン・チャバックさんに扮したところは評価されるべきですが、それでもまだ彼女が抱えていた闇を引き出すことはできていません。

女優の技量不足は否めず(最もそれが狙いだったとも言えますが)、バラエティー番組の再現フィルムを見せられているような違和感を覚えました。

この映画に、はたして女優は必要だったのか? そんなことすら考えてしまう内容です。

 

 

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生前のクリスティーンさんは、友人を作るのがあまり得意ではなかったらしく、異性との交流も限られていました。

多くのニュースや評論家の間では、彼女の満たされない性生活が、精神不安を引き起こしたとしています。

しかしながら、ただそれだけを原因とするのは考えものです。

 

確かに、30歳の誕生日を控えながらも男性経験がなかったことは、彼女にとっては、ある意味悩みだったのでしょう。

とは言え、ローカルニュースであれ、番組のメインとなる女性に男性スタッフが興味を持たないはずはなく、それを主な理由とするのは少々信憑性に乏しいです。

 

クリスティーンさんは、この事件が起こる数年も前から、睡眠薬の過剰摂取による自殺未遂を起こしたり、精神科医にかかったりしていました。

原因は不明でも、長年の鬱に悩まされていたのは事実です。

同僚に恋をし、またその相手の彼女が最も親しい同僚であったのも、彼女を追い詰めた原因の一つだと考えられています。

 

いずれにせよ、彼女の死には不可解な点も少なくなく、単に性生活の不満が原因ではなかったようです。

 

 

もう一つのクリスティーン

 

2016年のサンダンス映画フェステイバルに出品された、クリスティーン・チャバックさん事件に関する作品は、実はこの「ケイト・プレイズ・クリスティーン」だけではありませんでした。

「クリスティーン(Christine)」は、上記の作品に対しても明らかなフィクションであり、同じ題材を扱った全く内容の違う映画です。

個人的にはこちらの方がおすすめできる作品であり、一見の価値がある映画です。

 

「ザ・ギフト」に出演していたレベッカ・ホールさんがクリスティンを演じており、サンダンスでもかなり好評でました。

むしろ、彼女の方が、クリスティンの内面を描写できたのではないかと思われます。

「事実は小説よりも奇なり」とはよく言いますが、この場合は「フィクションがドキュメンタリーを超えた」と言うべきでしょうか。

 

もっとも、方や低予算のドキュメンタリーであり、この「クリスティーン」はスポンサーのついた映画です。

比べることがそもそもの間違いですが、「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」や「パラノーマル・アクティビティー」の前例があるように、予算は映画の良し悪しを語る際の決定打にはなりません。

ただ、「クリスティーン」も話題にはなりましたが、興行的には大赤字です。

 

しかしながら、この映画はぜひおすすめしたい作品の一つになります。

余談ですが、同じ題名の映画では、1983年に公開されたホラー作品、「クリスティーン」が一押しです。

当時の映画としてはなかなかのアイデア作で、特撮(フィルムの逆回転?)が面白いです。

 

 

終わりに

 

上でも書いたように、「事実は小説よりも奇なり」という点では、このクリスティーン事件ほど奇妙な物語はありません。

どんなドキュメンタリー映像よりも現実的であり、映画などは足元にも及ばないほどの、事実だけに裏打ちされた作品です。

クリスティーン・チャバックさんには、周到に練り上げられたシナリオ(彼女自身が書いた)が用意されていて、彼女はただそれに従っただけでした。

 

亡くなった方を愚弄するようで失礼ですが、1974年7月15日の生放送で起こった事件こそ、全てをシナリオ通りに、またカメラアングルまでを考慮に入れた、自作自演の超大作だったのです。

ただ、なぜ今この事件を蒸し返すかのように、同じ題材を扱った2つのタイプの違う映画が撮られたのかは、未だに理解できません。

むしろ、こちらの方が不思議です。

 

ひょっとすると、プロレスを見飽きたファンが、リアルでセメント試合をするUFCやパンクラスに憧れるのと感覚が似ているのかもしれません。

やはり、どこまで行っても小説が事実を超えることはないようです。

映画「ケイト・プレイズ・クリスティーン」は、一部の劇場で1月29日(日)の限定公開が予定されています。7月15日から公開されます。

 

「クリスティーン」は、日本での劇場公開は未定ですが、そのうちDVDとして販売される見込みです(希望的観測です)。

 

 

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