魔のハロウィンも終わり、次はサンクス・ギビング・デー(感謝祭)を待つばかり。ディズニーリゾートでは、気の早いことに、「ディズニー・ギフト・オブ・クリスマス」が11月8日から始まっています。
舞浜辺りでは、すでにクリスマスのデコレーションが飾られているのでしょうが、町にジングルベルが響くには、もう少し時間が要るようです。
クリスマスと言えば、クリスマス・ツリーにイルミネーション、それにクリスマス・リースを思い出します。
今回は、クリスマスに飾るデコレーションのうち、クリスマス・リースに注目してみました。
なぜ、クリスマスにはリースを飾るのか、その由来と理由をひも解きます。
今回は、話があっちこっちに飛びますが、最後まで読んでいただけると嬉しいです。
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クリスマス・リースの由来:始まりはローマ時代 ?
歴史上で最初にリースが登場するのは、ローマ時代だったようです。
しかし、その原型が作られたのは、その遥か昔、ギリシャ神話の中でした。
オリンピックの勝者に与えられた月桂樹の冠でさえ、神話の中から生まれています。
始まりは古代エトラスカン(Ancient Etruscan:エトルリア、イタリア中部の古代国家)だとか。
当時の人達が、穀物の豊作を願い、また疫病から逃れられるように、常緑樹の枝や葉を使って編みました。
常緑樹を使った理由は、いつまでも豊穣が続くようにと、そして冬の寒さにも(雪や氷にも)負けない強さを与えられるようにとの願いです。
その後は、麦の穂や茎を使い、また様々な素材を加えながら、現在家のドアに飾られているようなリースに発展しました。
ところが、そもそものリースが姿を現したのは、ギリシャ神話の中でです。
大神ゼウスがその頭にかぶっていたのは、楢(なら)の木の葉で作ったリースでした。
競技に勝ったオリンピアンが、その頭上にいただくのは、今やオリーブの葉のリースです。
しかしながら、勝利や達成のあかしとされた冠は、本来は月桂樹の葉で作ります。
なぜなら、戦いの神であり、勝利の神(オリンピックの象徴)であるアポロの頭を飾っているのが、何を隠そうこの月桂樹の葉だからです。
少し話が飛びますが、自分の弓の大きさをバカにされたエロースが、黄金の矢(これで射られると初めて見た女性を好きになる)で貫いたのがアポロでした。相手を嫌いになる鉛の矢で射られたのは、川の神(ペーネイオス)の娘で絶世の美女であるダフネ。
アポロはダフネに一目ぼれ。執拗にダフネに言い寄りますが、ダフネは全く相手にはしません。アポロのあまりのしつこさに半狂乱となった彼女は、父である川の神に、自身を木に変えてくれるようにと頼みます。
そして、ダフネが変身したのが月桂樹であり、彼女を射止められなかったにもかかわらず、勝利の印として使われるのが、月桂樹のリースなのです。
こうして見ると、リースは神話の中から生まれたようで、実は当時の信仰の象徴だったのかもしれません。
クリスマス・リースの誕生
クリスマス・リースが生れたのは、神話の時代から数百年を隔てた頃でした。
初めてクリスマス・リースが登場したのは、今から500年も昔の16世紀のドイツです。
その後、19世紀になってから、ルター教(プロテスタント)のヨハン・ウィヘルン(Johann Hinrich Wichern)牧師が考案したとされています。
彼がドアに掛けたのは、今のようなリースではありません。
牧師が飾った(?)のは、ただの台車の車輪でした。
それも、子供たちに、クリスマスの意味と、あと何日経てばクリスマスになるかを知らせるためにしたものです。
ウィヘルン牧師(一説には神父ともされている)は、クリスマスが始まる四週前の日曜日から車輪を飾り、日曜は白いキャンドルに火をともし、それ以外の日には赤いキャンドルをともしていました(翌年の1月6日まで飾るそうですが、一年を通して飾るところもあります)。
それが、やがて常緑樹の葉を使うようになり、現在のようなリースとなります。
円は神と四季とを表し、永遠に尽きることのない生命と循環を意味します(キリスト教の教えは甦りですから)。
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クリスマス・リースの持つ意味(さらに詳しく)
では、クリスマス・リースの持つ意味をご説明します。
色々なサイトを見ていると、五穀豊穣を願うのと、「魔除け」の意味があると言っていますが、これには賛同しかねます。
なぜなら、クリスマスはイエス・キリスト(Jesus Christ)の生誕を祝う日であり、そんな日にエクソサイズ(Exorcise:悪魔祓い)について考えるだけでも縁起が悪いからです。
クリスチャンにとって最もハッピーでポジティブな日に、わざわざ「魔除け」を考えるのはどうかと思います。
映画では、12月の末日までにキリストの復活を妨げようとする内容の作品もありますが、現実世界では……。
それこそ、ローマ時代に疫病の流行から逃れるために掲げた魔除けを、クリスマス・リースと混同しているのかもしれません。
クリスマスリーはなぜ丸い?
1. 円は神を意味し、永遠なる神の存在を表す(円には始まりも終わりもないから)。
2. 季節(四季)の循環を意味している。
3. 生命の輪廻転生を表す(イエスは蘇って人々を導いたことを意味しています)。
4. 尽きることのない神からの愛を表す。
以上が、クリスマス・リースの形による意味を表しています。
クリスマス・リースの素材が持つ意味
もともとは常緑樹の葉だけで作られていたのが、近年になって様々な素材を使うようになりました。では、そもそもの常緑樹の葉の意味を考えてみます。
1. ヒイラギはイエスの冠(受難に遭ったときの戒め)。
2. マツとイチイは永遠の命。
3. スギは癒し。
4. 月桂樹は痛みや受難を克服して目標を達成すること。
5. 松ぼっくりやナッツは誕生や生まれ変わり。
以上が、クリスマス・リースに使われている素材の持つ意味です。
クリスマス・リースに使われる色が持つ意味
クリスマス・リースに使われている色にも意味があり、どんな色でもいいというわけではなさそうです。
レッドとグリーンはトラディショナルなクリスマスカラーとされており、レッドはワインと同じで、キリストの血を意味し、グリーンは、上でも何度か出てきましたが、魂におけるエターナル・ライフ(永遠の命)を意味しています。
近年では、クリスマスツリーに飾る金色のボールや、星などを使うところもありますが、金色は本来裕福な人達がお祝い事に使っていた色です(宗教的にはほぼ無関係で、キリスト教で高貴な色は赤と青)。
終わりに
私がクリスチャンとして洗礼を受けたのは、かれこれ20年ほど前のことです。
すでに足は教会から遠ざかり、お祈りすることもありません(近年は、マントラを唱えながら瞑想しています)。
大学は、アメリカにあるジェズイット派の有名な学校でした。
日本でのクリスチャンの数は、人口のおよそ1%と言われています。
毎年、巷では派手なクリスマスが行われますが、はたして何%の人がその意味を分かっているのでしょうか?
ハロウィンのように、楽しいから、面白そうだから行うよりも、しっかりとその意味を理解しておいた方が、外国人が多くなる一方の日本でも、何かと役に立つことがあるかもしれません。
ここに挙げた内容も、ただのトリビアでしかありませんが、得することがある、かもしれませんよ(笑)。